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消費減税の是非
トランプ大統領による相互関税の発表で、国際経済は混迷の度合いを深めています。
日本の株式市場も激しく乱高下を繰り返し、しばらくは気の抜けない状況が続きそうです。
日本政府も、米国に対して、相互関税の対象から外すよう働きかけを強めているようですが、先行きは不透明です。
国会でも、与野党ともに、対策を求める声が出できていますが、一部では消費税をはじめとした減税措置を求める声もあります。
今の段階で、トランプ関税がすぐに個人消費に関する消費減税や、所得税の引き下げなどにつながるかと言われれば、そこはもう少し様子を見る必要があると思います。
直接的には、輸出入で影響を受ける事業者への資金繰り支援などが一丁目一番地になるでしょう。
もちろん、相互関税が国内の景気低迷や、物価高をもたらす場合には、こうした対策も必要になるかもしれません。
そうした状況になるかどうか、細心の注意を払いたいと思います。
物価高への家計支援は必要
一方で、トランプ関税にかかわらず、日本国内における物価高はすでに深刻です。
多くの皆さんが、暮らし向きの変化を実感しているのではないでしょうか。
そういう意味で、トランプ関税とは別の次元で、生活を支える家計支援策が必要なことは間違いありません。そのなかで、消費減税を求める声も上がってきています。
消費減税にも、いくつかパターンがあります。一律で5%に引き下げる案や、食料品だけを0%にする案もあります。
一方で、消費税はもともと、逆進性が強い税目でもあります。消費税の引き下げは、低中間層よりも、所得の高い方に恩恵が出やすいという見方もあります。
よりフェアな方法として、「給付付き税額控除」という形で、一定の消費税分を還付すべきだとの声もあります。
私は、どちらかといえば、給付付きの税額控除方式が優れていると思っています。
消費減税は、消費が多い人ほど、減税額が増えます。所得が高く、消費が多い人ほど、得をします。
一方で、給付付き税額控除であれば、所得にかかわらず、一定額の給付や控除を行うことになります。すべての人に同じような減税や給付を行いながら、その政策効果は特に低中間層によく及びます。
減税によって、多額の財源が必要になるという声もあります。消費減税の場合、どうやって穴埋めするのかは確かに課題です。
給付付き税額控除の場合は、消費減税に比べて少ない財源で、低中間層にもしっかりと恩恵を届けられるメリットがあります。高所得者層の減税額が一定にとどまるからです。
一般論として、給付付き税額控除は、政策としての優位性は高いように思います。
消費減税には何が必要か
ここまで、私の考えを簡単にまとめました。
ただし、少なくとも、方法はいろいろあるとしても、家計支援の必要性は否定のしようがありません。消費減税を求める声の切実さを、否定する気もありません。
消費減税が絶対にありえないかと言われれば、いろいろな課題もあるうえで、それでも暮らしを何とかしてほしいという多くの皆さんのお声があることは、深く肝に銘じなければいけません。
一つには、財源の穴埋めの問題があるでしょう。
赤字国債でいい、という声もありますが、多額の国債発行は、将来世代がその返還の負担を負うということを否定はできません。慎重でなければいけないと思っています。
どうすれば財源の問題をクリアできるのか、真剣に考える必要があります。
二つ目は、政策効果の側面です。
消費減税で強く出る「逆進性」の問題をどうクリアするか。
確かに、消費減税を食料品に限定するというのは、一つのアイデアではあります。どういった政策効果が出るのか、データをもとに議論をしていく必要があります。
三つ目は、期間の問題です。
どれくらいの期間、消費減税を行うのか。
恒久的に引き下げるには、恒久的な財源が必要でしょう。
時限的であれば、どれくらいの期間が適切なのか。
さらに難しいのは、その期間が済んだ時、本当に税率をもとに戻せるのか。
恒久財源としての消費税の性質を考えたときに、それを上げ下げする政治的な決断力が日本の政治に果たしてあるのか。
こうした課題が、解決不可能だと断言するつもりはありません。
本気で消費減税を目指すなら、これらを一つ一つ、丁寧にクリアしていくしかありません。
政治に改革力を生み出す
個人的には、特に三つ目の政治的な決断力の問題は重要だと思います。
決められない政治ではなく、決められる政治になる。
しかも、その決定は、深い熟議によって、感覚だけでなく、論理的にも妥当なものでなければいけません。思い付きではいけないのです。
そういう日本の国会、意思決定はどうすれば可能かを、考える必要があります。
緊張感のある国会はもちろんですが、小政党が乱立してシングルイシューで支持を競いあうような状況は政策決定を複雑化します。
衆議院の総選挙を基本として、与野党が伯仲する2大政党的なシステムを構築しなおすことが必要だと考えます。
企業団体献金をはじめとした政治資金のあり方も、こうした観点で、政党のガバナンスの問題として捉え直していくとよいのではないでしょうか。
政党法を求める声もありますが、機能する、活発な、民主的な2大政党が確立されるような改革につなげたいです。
そのとき、少数意見は無視されるわけではありません。むしろ、各党の民主的な手続きの中で、政策に反映されることを目指すべきです。
熟議の場をまずは政党に置き、国会はそこから出てきた選択肢をすり合わせ、選び取る場として、再定義する。
国家的な課題について、一致点と相違点を浮き彫りにし、選挙を通じて国民の判断を仰ぐ。そうゆうシステムを想定しています。
国会が、私たちの声を反映し、私たちのために仕事をするための仕組みづくりに取り組みます。